今週読んだ本

津田大介牧村憲一 /未来型サバイバル音楽論(中公新書ラクレ) 
音源は売れていない、売っていないのにLIVEは盛り上がったり、その逆だったり、
限定CD-RやDVD付、DL専門、カセット、アナログとマーケティングを狙ってのリリース形態が多様化してきたり、Ustream、即売会、多次創作などで作り手と受け手の距離が縮まってきたり、同化してきたり。なんとなく日々自分が音楽分野で動いていて感じてきたことがまとまっていた。
卑近なトピックが扱われているので、実感も得やすい。特にyotubeやdommuneなどの著作権処理にも言及していたが、今読んでいる”ローレンス・レッシグ/REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方 ”にある作品の多次利用とリンクするところがあった。日本やアメリカという国単位ではなく、国も人種も年齢も性別も超えて日々ルールと倫理が生成されているネットというインフラの面白さを再確認した。

マジでぶっかましていかんと。

豊島ミホ/東京・地震・たんぽぽ(集英社文庫) 
連作短編だけれど、地震は出発点程度でテーマは各話ごとに違うから、連作としての読後感は少ない。主人公も10代~20代後半あたりで他作品と変わらず。豊島ミホ話し言葉のような比喩が多くてやわらかい文体が好きなので、それでいい。
読み終わって、そっと本を閉じて、頭の中でページをまき戻して咀嚼する時間も
良いです。

東京・地震・たんぽぽ (集英社文庫)

東京・地震・たんぽぽ (集英社文庫)


高杉良/王国の崩壊(新潮文庫)
三越事件から岡田茂の解任劇までを描いた経済小説
敏腕営業部長が粗暴極まりない暴君社長へ。無茶な人事を繰り返し、イエスマンで固めていったという叙述だけでは、今ひとつ物足りなく、飛躍を感じた。
公取の審決、愛人との公私混同、贋物展覧会、日々の激昂と恫喝、と社長になってからの出来事はこれだけやれば結末をほぼ予測できるほどの専制ぶりなので、人性が豹変した時期や原因を掘り下げて欲しかった。

王国の崩壊 (新潮文庫)

王国の崩壊 (新潮文庫)



↓すげえ!こんなの出してんのか!

罪名 女―もうひとつの「三越事件」

罪名 女―もうひとつの「三越事件」

もう消えているけど個人サイトもあったみたいだし(http://michi-takehisa.com/)、80年代に女単身で三越にこれだけ食い込めたのだから、凄まじくバイタリティがあったんだろうな。