8月に読んだもの

剣持 加津夫/これが麻薬だ―写真で見る現代の病根(立風書房) 
ガサ入りの記録写真を修正無しで収録。今のようにレイヴやクラブとかもないから、現場はほぼ全て被疑者の家である。昭和のインテリア、昭和のファッションに呆けた顔の中毒者という組み合わせは、けだるい頽廃をじわじわと感じさせてくれる。


松沢呉一 /クズが世界を豊かにする YouTubeから見るインターネット論(ポット出版) 
エロとか際物ライターの人だったはずなのに・・・と思いきや、スカもの話を入れてきたりして抑えもきっちり。やったね!トークショーの加筆修正なので、話し言葉を読み続けるのが少し疲れた。youtubeでは元ネタを明記しないパクリ動画が多いので、
誤った情報が伝播する恐れがある。終盤にはtwitterにも言及して、イラン選挙時の現地住民からの速報には有用だったが、その分youtube同様に偽情報の混ぜ込みや、その伝達速度、修正の困難さにも気を配らなければならないと説く。

ここらへんは未だに解決されていないですね。公式RTとかRT,QTなど出てくる中で修正情報をRT,QT先にリンクできない現状は不安ばかり煽られるときがありますよね。


吉田修一/パレード(幻冬舎文庫)
映画を先に観まして、音楽が朝本浩文だったのもあり(BASSが太いBreakbeatでした!)ってどんどん引き込まれたので、原作も読まざるを得ないだろうということで。
男女2名ずつでルームシェアをしている家の話。ルームシェアなんて今ではポピュラーだし、自分の周りにもシェアで暮らしている人は居る。人と人とのつながりが希薄だとか新聞雑誌テレビ、知った顔の大先生方が言いたがる世の中だからこそ、魅力的スタイルに映る一方で、むしろそんな世の中だからこそ成り立っている空間ではなかろうか。心地良いぬるま湯も風呂の底は薄氷だったような、ある瞬間にまざまざと感じさせられる恐ろしさ。映画も面白かったけど、原作もやはり良かった。

濱田成夫/三代目魚武濱田成夫―前代未聞の途中の自叙伝―(情報センター出版局) おーいえーロックンローーーーーーーール!!!やっぱ生きてんだからカマすしかねええ!